記事作成日:2024/05/21

記事更新日:2024/09/02

<2024年度>総合内科専門医試験対策【Part2】~サンプル問題での解説~

<編集部より>専門医試験のなかで特に難度が高い【総合内科専門医試験】。
Part1では、一発合格のための3つのポイントを解説しました。
今回のPart2では、Dr. 孝志郎によるサンプル問題を用いて各ポイントを解説していきます

 


Dr. 孝志郎

宮崎大学医学部卒。総合内科専門医。
Dr. 孝志郎のクリニック院長。2007年よりメックの講師となる。
2019年「総合内科専門医試験」を全領域ハイスコアで合格。これまでにDr. 孝志郎の講義を受けた医学生・医師は10万人を超える。
類稀なる予想的中力と、わかりやすく聞き取りやすい講座、明るく楽しい人柄で、圧倒的な人気を誇るカリスマ講師。
 

 

2024年度「総合内科専門医試験」対策 ~一発合格への戦略~

 

 

Dr. 孝志郎による口頭試問

 

<口頭試問1>【粘液水腫性昏睡のバイタル】

国試、総合内科専門医資格認定試験。いずれにも頻出なのが、甲状腺の病態。私が受けた第47回総合内科専門医資格認定試験でも出題されています。

甲状腺といえば、バセドウ病、橋本病、亜急性甲状腺炎など。みなさんが国試を受けたときは、「橋本病でどのような出題がありましたか?」
便秘が出たかもしれない。非圧痕性浮腫(non-pitting edema)が出たかもしれません。
でも今は違う。「免疫水腫性昏睡」。こうした基礎的な範囲を聞かれるのが近年の傾向です。

 

さて、今から口頭試問をします。

「粘液水腫性昏睡のバイタルはどのような状態ですか?」

体温は下がるでしょう。脈拍だって下がってきますよね。血圧だってもちろん下がります。
では、呼吸数はどうでしょう?
基本的には脈拍が低いと血圧も下がります。いわゆるショック状態です。
一般的にショック状態では、代償性の反応として呼吸数が上がりますよね?

しかし粘液性水腫性昏睡の場合は違います。粘液水腫性昏睡までいくと、SpO2は低くなります。
どんどん末梢が酸欠になってきて、呼吸数すらしっかりと上げることができなくなります。
こういうところを押さえる必要があります。

 

「では、ナトリウムはどうですか?」

国試で低ナトリウム血症、高ナトリウム血症は勉強されたと思います。
「粘液水腫性昏睡ではどうでしょうか?」
実は、粘液水腫性昏睡も低ナトリウム血症をきたす病態に含まれています。他に低ナトリウム血症をきたす病態では、SIADHが有名ですよね。肝硬変。ネフローゼ症候群。熱中症。
「副腎クリーゼはどうでしょう? 」「粘液水腫性昏睡ではどうですか?」
こういう問題をしっかり正確に回答する必要があります。

私が受けた第47回総合内科専門医資格認定試験でも出た「亜急性甲状腺炎」。3~4連問で出題されます。面食らう方もいるはずです。
「風邪をひいた。え? 風邪?」みたいな変化球の出題です。
私はもちろん気付けますが、国試からしばらく離れている先生方となれば、果たして限られた試験時間内で亜急性甲状腺炎が鑑別に上がるでしょうか?
しかも、「エコーを当てることができるか?」「エコーの所見はどうだった?」などの問題があるかもしれません。
もちろん、炎症箇所が低エコー領域ですね。

「お薬は何を使うか?」
NSAIDsを使うと思いますが、これだけだと厳しいですよね。となると、プレドニゾロン20~60mg。この辺りでしょう。脈拍が上がっていますよね。だったらβ遮断薬も使いましょう。
このようなところを私の『リサーチサマライズ』でマスターしてもらいたいのです。

 

<口頭試問2>【中長期のトルバプタン服用による血清ナトリウムへの影響】

次の問題は医師国家試験レベルです。
トルバプタン。有名なお薬ですよね。
常染色体優性ポリシスティック・キドニーにトルバプタンは使いますよね。

 

では、問題です。

「トルバプタンを中長期的に使いました(バソプレシン受容体拮抗薬)。血清ナトリウムはどうなりますか?」
これは、国試レベルかつ近年の総合内科専門医試験でもズバッと出題されているところです。

バソプレシン受容体の拮抗薬を使う訳ですから、言ってみたら腎性尿崩症みたいな感じですよね。
H2Oがおしっこから逃げていくわけですから、例えるなら「塩の体」になります。となると、高ナトリウム血症です。
こういうところを『リサーチサマライズ』でマスターしてください。

 

<口頭試問3>【多発性硬化症・視神経脊髄炎と「しゃっくり」】

ポイント3「絶妙な難易度の問題」を見てみましょう。

第51回総合内科専門医試験で以下のような問題が出ました。
「多発性硬化症(MS)」と「視神経脊髄炎」。
総合内科専門医試験を控えた先生方なら、どちらもわかっていることでしょう。
「鑑別のポイントはどうか?」こういうのが一般問題です。一般問題は正しい知識がまとまっていないと回答できません。 国試だけではありません。総合内科専門医試験でも実は一般・一般・一般。一般は合格のキーです。

 

「鑑別の選択肢にしゃっくり」

多発性硬化症と視神経脊髄炎の鑑別に話を戻します。
多発性硬化症と視神経脊髄炎の鑑別にしゃくりです。実は、しゃっくりは有益な鑑別点です。
回答するために抗アクアポリン4(AQP4)抗体は知っておかなければいけません。
視神経脊髄炎ときたら、疾患特異性の高いガンマグロブリンかと思いますが、簡単に言うと「体中のアクアポリンが攻撃されています」という話ですね。
アクアポリン4は中枢神経系の中で局在が違って、多いところと少ないところがあります。
延髄はアクアポリン4などのタンパクが多いところです。ですから、延髄が集中的に攻撃されます。
延髄を障害されると、止まらないしゃっくりが出やすくなります。なので、しゃっくりが鑑別のポイントになるのです。

 

これがポイント3【絶妙な難易度の問題】です。
国試レベルは、はるかに超えている。国試だったら、視神経脊髄炎だけで済みます。
アクアポリン4の抗体。「視神経脊髄炎」と「アクアポリン4」を繋げられれば点数はくれる問題だと思います。
ただ、次のステップの総合内科専門医試験。突破のために必要なのが、今お話ししたような対策です。
こういうところをまとめていかないといけません。

 

<口頭試問4>【SGLT2阻害薬と正常血糖ケトアシドーシス(DKA)リスク】

今をときめくSGLT2阻害薬。例えばジャディアンス錠。よく使う薬ですからみなさんもご存じでしょう。

糖尿病の原則論として、SGLT2阻害薬などDMの薬で血糖値が下がります。
さらにSGLT2阻害薬はナトリウムも調整してくれます。慢性心不全のお薬としてもエビデンスがあります。 「SGLT2阻害薬は魔法の薬」そのように評価する先生もいるほど素晴らしいお薬です。
しかし副作用もいくつかあります。SGLT2阻害薬を服用すると、オシッコの中にグルコースが逃げていきます。
すると、それを狙って病原体がやってくる。当然、尿路感染症とか性器感染症のリスクは増えます。

 

では、「正常血糖のケトアシドーシス(DKA)リスクはどうなりますか?」
問題文では“正常血糖”と書かれて出題があるかもしれません。でも、総合内科専門医試験は甘くはないです。
正常と書きながらも、ちょっとだけ血糖値が高い190とか210で出題の可能性があります。「なんで? 」ですよね。
なんで? に対して、「こうだ」と的確に病態を答えられることが大事なのです。
これを勉強するために『リサーチサマライズ』を聞いてもらいたい。ここはみなさんにとって、大事なポイントになると思います。

 

伸び代は一般問題!Dr. 孝志郎の対策教材で一発合格を目指せる

さて、前回のPart1の記事でも解説しましたが、ポイント1と3が合格のための戦略です。
2つのポイントを押さえるために、僕の『リサーチサマライズ』。おすすめです。

『リサーチサマライズ』は、総合内科専門医試験受験者にヒアリング。内容を徹底に分析した上で、試験の傾向と対策をレクチャーしています。
私はこれまでに国試の受験生を大勢導いています。実数で約10万人引っ張ってきています。
最前線の国試のエッセンスを余すところなくサマライズしていますので、しっかりチェックしてください。
そしたら確実に固まります。正直、他の教材はいりません。
ぜひ聞いてください。僕の背中に付いてきてもらいたい!

 

2024年度総合内科専門医試験対策

 

『リサーチサマライズ』と併用していただきたいのが、『内科系専門医試験 完全攻略講座シリーズ』
10年前から執筆していて、シリーズの最新作でおそらく最終作Vol.3が出ました。内科系リサーチサマライズをやった上で、内科系専門医試験の解法へのアプローチとしてご活用いただきたい。最新作のVol.3。
たった50テーマ。すごく手に取りやすいと思います。これを直前期に使ってください。

試験の前。なるべく早く前期学習として『リサーチサマライズ』を見てください。
その上で直前期。「何を確認するか」と直前期はやっぱり総まとめ。
ズバリこれが『内科系専門医試験 完全攻略講座シリーズ』ですね。直前のエッセンスだと思ってください。みなさんだったらすぐ読めます。

『内科系専門医試験 完全攻略講座シリーズ』の使い方として、まず、臨床問題だけサッと見てマルバツをつけてください。
みなさんだったら解ける問題の方が圧倒的に多いはずです。まず、スッと入れてもらいたい。
実際、第50回第51回、かなり出ていました。2024年度第52回総合内科専門医試験、そして53回、54回以降もっともっと出てくると思います。

最後に。 多くの症例数を分析している私からのアドバイスです。
医師国家試験も総合内科専門医試験も全く同じ共通点があります。「みんな一般が苦手!」いいですね。一般が苦手。
臨床の平均点と一般の平均点が大きく乖離しています。ここはポジティブにいきましょう。
言い方を変えれば、「一般問題の伸び代がすごい」ということ。だったら伸び代を伸ばすのが戦略ですよね?合格のための戦略だと思います。以上です。
総合内科専門医試験一発いいですね。一発です。一発合格。これを応援しています。
Dr. 孝志郎でした。ありがとうございました。

 

*この記事の前半:【Part1】~一発合格への3つのポイント~

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