記事作成日:2022/07/28

記事更新日:2023/11/09

研修医制度をわかりやすく解説!専門医になるまで何年かかる?

医師になるまで、そして医師になってからの道のりはとても長いものです。分野にもよりますが、大学入学から医師の一人前と呼ばれることもある「専門医」となるまでに11年以上かかります。

具体的には医学部に入学して4年間は座学を中心に勉強し、その後卒業までの2年間は診療参加型臨床実習を行い、医師国家試験に合格後は研修医として5年間過ごします。そしてやっと専門医受験資格を取得することが可能です。

この記事では5年という長い期間行う研修医制度について解説します。

研修医制度の目的と内容をわかりやすく紹介

研修医制度は大きく初期研修と後期研修の2つの段階に分けることができます。研修医制度のそもそもの目的と各研修の内容について確認していきましょう。

研修医制度の目的

厚生労働省*1 は研修医制度の目的に以下の事柄を挙げています。

・医師としての人格をかん養する

・将来専門とする分野にかかわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識する

・一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な診療能力を身に付ける

*1 厚生労働省:新制度の概要

これら目的を達成するために研修では多くのカリキュラムが組まれ、決して楽なものとは言えません。研修医制度ができたばかりの頃は体制が不十分で、研修医が多忙を極めたり、十分な報酬が得られないといった労働環境の過酷さを指摘されていました。

しかし近年、世間の働き方に対する考え方も変わってきたことを受け、研修医の労働環境が見直され以前と比べて待遇は改善してきています。特に2004年に研修医制度が必修となった*2 ことで、アルバイトをせずに研修に専念できる環境が整備されたことは大きな改革です。

*2 医師臨床研修制度の変遷|厚生労働省

 

研修医制度の内容

初期研修と後期研修それぞれの研修期間は2年、3年以上(分野によって異なりますが一般的には3年)が目安です。
初期研修では様々な診療科にて、後期研修医や指導医と相談しながら病棟業務や救急外来を担当します。後期研修では専門診療科に所属し、上級医と相談しながら時に主治医として病棟業務や救急外来を行います。

2年間の初期研修とは

初期研修の最大の目的は医師としての基礎を身につけることです。診療科に関係なく、基本的な診療能力の獲得が求められています。そのため、初期研修の2年間は様々な診療科をローテートして研修します。

具体的には2年間で基幹型臨床研修病院、協力型臨床研修病院及び臨床研修協力施設(診療所や保健所)を巡回します。
なお以下の科目は一定の期間ローテートする必要があるため注意が必要です。

・内科…24週以上

・救急科…12週以上、4週まで麻酔科に振替え可

・外科・小児科・産婦人科・精神科…各4週以上

・地域医療…4週以上

そのほか一般外来での4週以上の研修も必修となっています。

上記の必修以外の期間は研修医自身で診療科を選択し研修を受けることができます。ただし病院のプログラムによって選択できる内容も異なるためしっかり確認しておきましょう。

3年間の後期研修とは

初期研修後のステップに後期研修があります。後期研修の目的は専門領域についてより深く学ぶことです。

2018年に導入された新専門医制度に沿って専攻分野を決定し、高度な知識と技術を習得するべく研修します。後期研修は初期研修と異なり、主治医として診療業務に当たることもあり、責任もより大きなものとなります。その分やりがいがあるとも言えるでしょう。

同じ研修医でも初期研修医は「研修医」、後期研修医は「専攻医」「専修医」と区別されます。

また後期研修の特徴として本業に支障が出ない範囲での副業(外勤と呼ばれるもの)が可能となります。他の病院の外来や当直業務を行うことが多いです。

研修医制度で大切な研修先の選び方と手順

医師として大切な研修医期間をどの病院で過ごすかはたいへん重要です。研修先は自分の目標に合った場所を選ぶようにしましょう。

さらに、生活していく上で労働環境や給与などの待遇面も欠かさず確認してください。

研修先を探す際に確認すべきポイント

研修先を探すに当たって大切な点は労働環境と教育体制の2つです。

(1)労働環境

・業務内容(外来、病棟業務および手技など具体的な内容や通常の週間スケジュール)
・当直回数
・給与(当直代、ボーナス、外勤も含めて確認)
・福利厚生

 

(2)教育体制

・研修医はどれくらい募集、受け入れをしているのか
・指導医はどれくらいいるのか

初期研修に関しては、後期研修が始まるまで副業は禁止とされていることが多く、生活維持のためには研修先からの給与が重要となります。非常勤なら年収300〜700万円、常勤であれば年収1,000万円ほどが目安です。

これらの内容に加えて、初期研修は研修プログラムで選択期間の長さや研修カリキュラムの充実度も考慮するといいでしょう。後期研修は後期研修終了後のキャリアプラン(地域医療、大学院進学、留学)を見据えて選択することがおすすめです。

研修開始までの手順

まずは研修先を探す必要があります。「医師臨床研修マッチング」と呼ばれる、医学生と研修先病院を結ぶシステムを用いて探す方法が一般的です。この方法は2004年に確立した仕組みで、2004年以前は出身大学やその関連病院で研修を行うことが基本でした。

医師臨床研修マッチングで、医学生はマッチングに参加する病院の中から希望のプログラムを選び、希望順位を登録します。研修病院側は筆記試験や面札など様々な形式で選考を行い、採用希望者に順位をつけます。その後、一定のルールに従ってマッチングし、臨床研修を受ける人が決定していきます。

具体的にどのように準備をしていくか大まかな手順を紹介します。

まず大学4〜5年生頃から研修先の候補となる病院のプログラム内容、選考方法、待遇面などの情報を収集し、試験対策を進めます。
大学6年生の4月頃から研修を希望する病院の選考試験を受験し、6月頃にマッチング参加登録、9月上旬には希望順位の登録を行いましょう。そして10月下旬にマッチングの結果発表が行われ、研修先が決定します。

研修医の制度上の立場とは?わかりやすく解説

医学部を卒業し、晴れて1人の医師となりますが、すぐに様々な仕事を任されるわけではありません。

研修医は文字通り研修中の身です。医療行為は誤った判断・処置をすると重大な事態を引き起こしかねないので、一人で行うことができる診療行為に制限があります。具体的に解説します。

制度上の研修医の立ち位置

法律上、研修医は「医師免許を持って全国各地の医療機関で働いている医師」という扱いです。しかしすべての医療行為を1人で行うことはできず、指導医にサポートをしてもらわなければなりません。

中には単独で行うことが可能な医療行為もありますが、内視鏡検査や穿刺の多くができなかったり、処方できる内服薬に規定があったりするなど、自由がきかないことの方が頻繁にあるでしょう。開業医や勤務医、研究職、大学院生など様々な道へ進んでいくためには、研修医としての経験を必ず積むことになります。

では研修医が単独で行える医療行為にはどのようなものがあるのでしょうか。

研修医が単独で行える医療行為

研修医が上級医の同席なしで単独にて行うことができる医療行為を一部紹介します。もちろん指導医や上級医の指導または許可のもとで行うことが前提です。

(1)診察

・全身の視診,打診,触診
・聴診器,打腱器,血圧計などを用いる全身の診察
・耳鏡,鼻鏡,間接喉頭鏡,検眼鏡による診察

 

(2)検査・処置

・安静時心電図、ホルター心電図
・聴力検査、視力検査
・末梢静脈穿刺と静脈ライン留置
・動脈穿刺

 

(3)治療

・皮下、皮内、筋肉、静脈注射
・皮膚消毒、創傷処置
・局所麻酔
・抜糸
・一般の内服薬や注射薬処方

まとめ

医師となってから最初のキャリアである研修医は、将来の医師像を決めていくのに非常に大切な期間です。後悔のない選択となるように初期研修、後期研修ともに業務内容だけでなく待遇面などもしっかりと情報収集をした上で、研修先を選ぶようにしてましょう。
こうした情報は、初期研修病院サーチ専門病院研修サーチなどで見ることができます。

研修先が決まり、国試に合格し、大学を無事卒業したあと、いよいよ研修医プログラムが開始します。
この研修医期間でいきなり実臨床に臨むことになりますが、当然ながら不安の声が多く聞かれます。
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