記事作成日:2022/08/08

記事更新日:2024/08/14

研修医の進路とは?決まらない場合はどうしたらいい?

研修医の進路決定をするとき、その後の将来まで決まってしまう気がしてなかなか決められずにいる方は少なくありません。大学医局に属さないことも珍しくなくなった今、どのように行き先を決定をしていけばよいのでしょうか。
今回は研修医の進路選択について、様々なパターンを確認していきます。

 

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研修医の主な進路をステージごとに紹介

医学部を卒業すると2年以上の初期研修医期間、その後3年以上の後期研修医期間があります。さらに専門医を取得する場合は、症例数や実績を増やすためにしばらくは研修が続くでしょう。ここでは研修医の主な進路をステージごとに分けて詳しく紹介していくため、現在の状況と照らし合わせながら参考にしてみてください。

初期研修後の進路について

数年前までは医学部を卒業したあとは医局に属し、大学病院やその関連施設で経験を積むことが一般的でした。現在では以下の4パターンで悩むことが多く、特に大学医局に籍をおくか否かは重要な転換点となります。

 

(1)大学医局に籍を置き大学病院や関連病院で後期研修を行う

(2)博士号取得を目指し、大学院に通いながら研修を行う

(3)医局に属さず市中病院等で後期研修を行う

(4)臨床以外に進む

ほとんどの場合は専門医取得を見越して研修先を選びますが、初期研修の間はローテートなため、各診療科を回りながら進路を決定することも珍しくありません。

 

大学医局に籍を置くメリット

大学医局は効率よく勉強できるよう教育システムが充実しており、所属することで専門医の申請に必要な症例が集まりやすくなります。大学病院やその関連施設だからこそできる海外留学や研究、高度な専門医療もあり、研修医が学習するのに適した環境といえるでしょう。

一般病院ではみられないような珍しい症例が集まる点も大きな魅力です。こうした専門性の高い医療に触れることはスキルアップの糧となり、今後のキャリアや進路にも影響していきます。

加えて、関連病院への出向や学会への参加など、横のつながりが広がりやすいことも特徴です。医局で働くと給料は低くなりがちですが、比較的条件の良いアルバイトを紹介してもらえるでしょう。

 

大学医局に籍を置かないメリット

医局に籍を置かないメリットは、意思に反した勤務先の異動がないことです。大学医局は知識が偏らないようにしたり、各病院の医療レベルを調整したりと様々な目的のため、毎年あるいは数年おきに勤務地が変わります。

また基礎研究に時間が取られず、自分の選択した病院で数多くの症例や臨床経験を得ることができる点もメリットのひとつです。医局はどうしても学会や論文などアカデミックな知識を身につける機会が多く、実践的な医療に携わる機会は少なくなります。そのほか、比較的給与が高く勤務時間にしばられにくいところに魅力を感じる方もいます。

なお、厚生労働省が2008年に行った臨床研修修了者アンケートによると、初期研修段階で大学病院で研修した人は40.8%、大学病院以外の臨床研修病院で研修した人は55.8%と、大学病院を上回る結果となりました。

参考:平成28年臨床研修修了者アンケート調査

 

後期研修後の進路について

後期研修が終了した後は、研修した施設や関連施設に就職することが一般的です。ここでは専門医を目指すかどうか、方向転換をするかどうかがポイントとなります。基本的には専門医の取得を目指し技術を磨くことでスキルアップしていくケースが多いようです。

2018年には「新専門医制度」が導入され、注目を集めました。新専門医制度は良質な医療の提供と医師のキャリア形成支援を同時に行うべく導入された制度です。この制度により、医師が履歴書や資格の記載欄に保有する専門医を明記することが可能となりました。したがって専門医取得の需要はますます大きくなるでしょう。

さらに後期研修では初期研修よりも専門性の高い分野に携わることができるため、現在の分野が自分のやりたいことに沿っているか否か、業務環境が合っているか否かを確認することができます。後期研修を経て、自分の目指すキャリアとのミスマッチを感じた場合は、専門分野の変更やキャリアチェンジも可能です。

 

専門医取得後の進路について

専門医を取得することは技術や知識の幅を広げるだけでなく、成長のきっかけとなったり信頼されやすくなったりと進路が大きく広がります。このタイミングで医局を離れ、新たな道を歩む医師も少なくありません。専門医取得後の主な進路は以下の通りです。

 

症例数とその内容を充実させるための転職

専門医の有無の次に重要視される項目は症例数とその内容です。条件の良い病院へ転職することで医局に所属している際には研究や論文執筆に割かれていた時間を臨床に充てることができます。卒後10〜15年で医局を離れる医師は、急性期病院で症例を積むことが一般的です。

 

急性期病院や療養施設、外来クリニックへの転職

これまで多忙を極めていた医師の中には、ライフワークバランスを意識して余裕のある働き方を望むケースもあります。その場合、患者数が少なく比較的時間の融通が効きやすい急性期病院や療養型病院、外来クリニックなどへ転職することが多いです。一方で、急性期病院は急な対応を求められたり、夜間に呼び出されたりすることもあるため、事前に確認が必要です。

将来的に開業を目指すのであれば、

 

(1)開業予定地域の診療連携拠点病院に勤務してネットワークを広げる 

(2)クリニックに勤務して院長としての経験を積む

など、将来を見据えた進路を歩むと良いでしょう。

 

初期研修後の進路が決まらない場合

基本的には、初期研修2年目の前半で、その後の研修先を考えるようになり、後半に差し掛かる頃には自分の進路がほぼ決まっていることが望ましいでしょう。初期研修は短期間でローテーションをし、多くの診療科で学ぶことができるため、将来の進路に影響を与えることもあります。研修中に自分の専門分野を探りながら、専門分野を検討していくことがおすすめです。

進路を考え、決定する際には、自分の学問的興味、臨床研修の経験、やりがいを念頭に置いて選択することが大切です。

なお、研修医の約5割が初期研修を受けた病院で後期研修を受けています。言い換えれば残りの5割は何らかの理由で研修先を変えていることになります。進路を変更することは珍しいことではありません。決まらないからといって、無理に選択しないようにしましょう。

また後期研修では、初期研修に比べ大学病院での研修を希望する割合が増加する傾向にあります。

参考:医学生・研修医100人に聞きました|DtoDレジデント

 

後期研修医(専門医・専攻医)後の進路が決まらない場合

希望する専門分野が定まらず後期研修後の進路が決まらない場合には、給与や当直回数、福利厚生など労働環境を判断材料にしましょう。これから医師として勤務していくうえで、長く続けられる環境かどうかは重要です。

それでも進路が決まらない場合は、自分の好きな分野、医師としてやりたいこと、得意なことなどを基準にして考え直してみることがおすすめです。自分の選んだ進路が合わないと感じたり、ほかに進みたい分野が見つかったときには、転科するという手段もあります。必要以上に焦って進路を決める必要はありません。

 

まとめ

研修医の進路はその後の将来にも関わってくる医師としての基盤となるため、初めから目指す分野が決まっている場合以外はとても悩んでしまうかもしれません。
それぞれのステージにおいて最善の選択をし、将来目指す医師の姿に近づけるよう一歩ずつ進んでいきましょう。

ドクターズスタディを運営する株式会社シーメックでは、初期研修先並びに後期研修先選びのサポートを行っています。進路選びにお悩みの場合はぜひお気軽にご相談ください。

 

 

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