2022/06/06

新専門医制度の基本領域とは?サブスペシャリティ領域とともに解説

医学部を卒業後、医師免許を取得し初期研修が終わると、多くの医師が専門医の取得にむけて準備を始めることになります。 今回は新専門医制度における基本領域とサブスペシャリティ領域について解説します。

新専門医制度は基本領域とサブスペシャリティ領域の2段階方式

2017年までは各学会が独自の専門医制度を有していました。 各学会が定めた専門医制度では、専門医取得試験の難易度にばらつきがあることで領域によって医師の知識や技量に差が生じていたり、多様な専門医が乱立していることで受診の際に混乱を招いてしまったりすることが問題視されていました。 そこで「新専門医制度」が導入され、専門医試験が統合されることになり、明確な「専門医」の定義が決まりました。 これにより、質の担保された専門医を標榜できるため医師としても専門医を取得するメリットが大きくなりました。

医政局-厚生労働省の資料によると、新専門医制度は基本領域とサブスペシャリティ領域の2段階方式を採用していることがわかります。 この2段階方式は基本領域の専門医を取得後、サブスペシャリティ領域でより専門的な資格を取得するよう設計されており、医師がいずれかの基本領域の専門医を取得することを基本指針としています。

基本領域とサブスペシャリティ領域それぞれの専門分野

ここでは新専門医制度で設定された19の基本領域と29のサブスペシャリティ領域の概要を解説します。 医師は画像1の図のようにいずれかの基本領域の専門医の取得をした後、学びを深めたいサブスペシャリティ領域を選んで専門医資格取得を目指します。

画像1出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000492681.pdf)

19の基本領域

新専門医制度では基本領域として【内科、小児科、皮膚科、精神科、外科、整形外科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、脳神経外科、放射線科、麻酔科、病理、臨床検査、救急科、形成外科、リハビリテーション科、総合診療科】の19の診療科が設定されています。 旧専門医制度の18の基本診療領域に総合診療が加わった形です。

基本領域の専門医を取得するためには、2年間の初期研修を終えた後にこれらの領域のプログラムに登録し、プログラムに応じて3年以上の研修を行う必要があります。 サブスペシャリティ領域のプログラムはこの基本領域の専門医取得を前提としているため、基本領域の専門医取得後でなければサブスペシャリティ領域の専門医を取得することはできません。

29のサブスペシャリティ領域

サブスペシャリティ領域では内科系の準基本診療科として【消化器病、循環器、呼吸器、血液、内分泌代謝、糖尿病、腎臓、肝臓、アレルギー、感染症、老年病、神経内科、リウマチ】の13領域が設定されており、外科系の準基本診療科として【消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科】の4領域が設定されています。 そのほか、12の細分化診療領域があるなど、基本領域よりも専門的な知識が要求されます。 また、内科系の準基本診療科のサブスペシャリティ研修に進むためには内科の専門医取得が、外科系の準基本診療科のサブスペシャリティ研修に進むためには外科の専門医取得が必要となります。 つまり内科専門医取得後に消化器外科専門医の研修に進むことはできませんし、小児科の専門医取得後に循環器専門医の研修に進むこともできません。

専門医の基本領域を詳しく解説!

専門医を目指す上では19の基本領域の理解をしっかりと深めて、研修に進みたい領域を選ぶことが重要です。 ここではいくつかの基本領域をピックアップし、詳しく解説していきます。

内科

先進医療の向上に伴い臓器別毎の専門領域(サブスペシャリティ)が特化するあまり、患者の全身を診る(総合内科)能力は低下していることが問題視されています。 そこで新専門医制度では基本領域として「内科」を設定し、総合内科能力の低下問題を解消しようと試みています。 内科専門医を取得するためには、認定施設で3年以上の研修を受けた後に内科専門医試験に合格し、日本専門医機構による認定を受ける必要があります。 なお、専門医取得後の更新は5年ごとです。

外科

外科分野では消化管、肝胆膵、心臓・血管、呼吸器、乳腺・内分泌、小児科、救急・麻酔に関する全般的な知識や技能の習得を専門医取得の条件としています。 外科専門医を取得するためには、認定施設で3年以上の研修を行う中で学会が定める各領域の手術を経験する必要があります。 そして所定の研修を修了したうえで外科専門医試験に合格し、日本専門医機構による認定を受けます。 専門医取得後の更新は5年ごとに行われます。

小児科

小児科専門医もそのほかの領域と同様に、学会が指定する所定の卒後研修を修了した後に専門医試験を実施し資格を認めています。 また臨床現場における評価(Mini-CEX、 360度評価、マイルストーン評価)も必須です。 小児科専門医を取得するためには、認定施設で3年以上の研修を受けた後で小児科専門医試験に合格し、日本専門医機構による認定を受ける必要があります。 資格はほかの領域と同じく5年ごとに審査のうえ更新されます。

産婦人科

産婦人科学会では、周産期、婦人科腫瘍、生殖・内分泌、女性ヘルスケア(更年期やウロギネコロジー領域を含む婦人科プライマリケア)の4領域全てにおいて十分な知識や技能の習得を専門医の条件としています。 産婦人科専門医を取得するためには、認定施設で3年以上の研修を受けた後で産婦人科専門医試験に合格し、日本専門医機構による認定を受ける必要があります。 資格の更新はほかの領域と同様に5年ごとです。

救急

救急医学会では、病気やけがなどの急病患者を診療科に関わらず診療し、専門各科と適切に連携を取れる医師の育成を目的としています。 救急科専門医を取得するためには、認定施設で3年以上の研修を受けた後で救急科専門医試験に合格し、日本専門医機構による認定を受ける必要があります。 ほかの領域と同様にプログラム制が原則となりますが、プログラム制での研修が不可能である合理的な理由があり所定の手続きを完了した場合は、旧専門医制度の条件を満たすことでも取得できる場合があります。資格は5年ごとに審査のうえ更新されます。

総合診療科

総合診療医は新専門医制度で新たに追加された領域です。 患者の症状だけではなく、生活環境や地域にまで視野を広げることで社会の変化を考慮した診療を行います。 超高齢社会による医療ニーズの高まりや医療保証費の財源問題、医師の地域偏在などの問題解消に取り組むことが可能です。 現段階では総合診療科の専門医を取得する医師は比較的少ないですが、国としては医療分野の課題を考慮すると促進していきたい分野のひとつです。 総合診療専門医を取得するためには、認定施設で3年以上の研修を受けた後で総合診療専門医試験に合格し、日本専門医機構による認定を受ける必要があります。 資格はほかの領域と同様に5年ごとに審査のうえ更新されますが、発足してまもない制度であるため、これらの条件は変更となる可能性があります。

そのほかの基本領域

皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、麻酔科、放射線科、リハビリテーション科、病理、臨床検査についても、専門医取得のためには上記の基本領域と同様に各学会が指定する認定プログラムを修了したうえで専門医試験に合格し、日本専門医機構による認定を受ける必要があります。 ただし、これらの基本領域では各学会の指定する認定プログラムが領域ごとに異なっており、4年以上の研修期間を要するものもあるため詳細については各学会のホームページをご確認ください。

基本領域をはじめとする新専門医制度に特化したドクターズスタディの動画授業

これらの新専門医制度による専門医試験は2018年度に導入されたばかりで、第一回の試験が(2022年3月の時点で)まだ実施されていない領域もあります。 そのため、既存のテキストでは新専門医制度の専門医試験の内容がカバーしきれない部分もあり、試験内容の情報を集めることは困難です。 ただし、ドクターズスタディでは各領域の新制度に対応した専門医試験対策を行なっており、新専門医制度の試験対策が可能です。 各領域の内容をわかりやすく解説した授業動画視聴による専門医試験対策で、好きな時間に自分のペースで進めていくことができます。 そのため普段は診療などで忙しい医師の方でも効率よく専門医取得を目指すことができます。

また、ドクターズスタディでは専門医研修に関する相談も受け付けています。 専門医取得に合わせた転職・転科だけでなく専門取得後の進路や就職先に関する相談窓口も設置しているため、専門医試験や制度について疑問点がある場合はお気軽にご相談ください。

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