記事作成日:2023/08/14

記事更新日:2024/03/12

後期研修医とは?専攻医や新専門医制度についても解説

2018(平成30)年から新専門医制度が始まりましたが、「研修医制度が複雑でわからない」「科を選択するにあたり、専門医までの流れを理解したい」「専攻医って何だろう」などの疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。
新専門医制度を通して希望とする専門的なキャリアを築くためには、この制度を正しく理解する必要があります。

今回は後期研修医、専攻医などの用語や、専門医になるまでの具体的な過程を説明します。
ぜひ最後まで読んで制度を理解し、希望する専門医を目指しましょう。

 

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後期研修医とは

「後期研修医」とは、専門の診療科を選択した後に専門医資格を取得する期間の医師のことを指します。後期研修医について具体的に理解するために、医学部を卒業してから後期研修医になるための歩みを紹介していきます。

医学部を卒業後に国家試験に合格して医師免許を取得すると、医師の仲間入りをします。
大部分の医師は最初の2年間に「初期研修」と呼ばれる研修期間を過ごします。初期研修では、厚生労働省に必修と定められている内科、外科、小児科、産婦人科*1 などの科をローテーションしながら研修を行います。

医師は初期研修を終えるまでに、自分の専門とする科を選択していることが一般的です。
その後3年間は専門とする診療科で「後期研修」を行います。後期研修では、より専門的な技能の取得を目指します。先述した通り、この期間の医師を後期研修医と呼びます。

*1 厚生労働省 | 医師臨床研修指導ガイドライン -2020 年度版- 

 

新専門医制度により「後期研修医」は「専攻医」に

2018(平成30)年4月から新専門医制度が施行され、「後期研修医」という呼び方はなくなりました。
その他にも変更された名称がいくつかあるため、新専門医制度の理解を深めるために一つ一つ確認していきましょう。

研修医

研修の時期によって変わる研修医の名称について確認します。

旧制度での呼び方 新専門医制度での呼び方
初期研修医 研修医
初期研修 医師臨床研修

旧制度における「初期研修医」、「初期研修」は新専門医制度で「初期研修医」から「研修医」に、「初期研修」から「医師臨床研修」に変わりました。医師免許取得後2年間の医師臨床研修では、基本的な診療能力を身に付けるだけでなく、医師としての人格、社会的役割を身に付けます。

また、研修では内科24週以上救急科12週以上外科、小児科、産婦人科、精神科、地域診療を各4週以上の各科をローテートした研修、一般外来での研修が必修です。
新専門医制度下の医師臨床研修では、従来の制度と比較して必修科を増やし、基本技能の向上を期待していることが特徴です。

専攻医

旧制度での呼び方 新専門医制度での呼び方
後期研修医 専攻医

旧制度における「後期研修医」は「専攻医」に名称が変わりました。専攻医は初期臨床研修を終えた後の3〜5年間、専門医資格取得のために専門研修プログラムで学ぶ医師のことを指します。
専門研修プログラムは、日本専門医機構が認定する病院が公表するもので、医師臨床研修中に医師一人ひとりが選択して応募します。
これに合格するとプログラムに登録され、専門医取得への一歩を踏み出すことができます。

専攻医の前段階である初期臨床研修中には、専門とする科を選ぶためにその科の専門研修プログラムを見学したり情報収集したりして吟味することが大切です。プログラムは1つのみ選択可能で、応募者が多く不合格となった場合は二次登録に進みます。
選択期間を考慮して早期から専門とする科を選択する準備を進めるとよいでしょう。

専門医

専門医は、専門研修プログラムを終え、専門医試験に合格して専門医資格を取得した医師のことを指します。
専門医試験は各診療科で受験者数、合格率が大きく異なり、それぞれに適した試験対策が求められるため、確実にクリアするために各学会のホームページなどから専門医試験に関する情報をキャッチしましょう。

 

新専門医制度とは

新専門医制度は、2018(平成30)年から導入されました。
特徴は次の通りです。

・厚生労働省から依頼を受けた第三者機関、日本専門医機構*2 が運営
・従来は診療科ごとに独自に専門医を認定していたが、認定基準を統一
・19種類の基本領域と24種類のサブスペシャリティ領域の2段階構成

*2 一般社団法人日本専門医機構 ( https://jmsb.or.jp/ )

従来の専門医制度では、専門医の質の偏り、医師が都市部に集中してしまうことの対策がとられていないことなどが課題でした。新専門医制度は、専門医資格の取得に一定の基準を設けることで専門医の質向上に働きかけています。

また、専門医資格を取得すれば集患を目的とした広告も出せるようになり、患者が安心して医療を受けられるだけでなく、医師にとってもメリットが生まれるようになりました。

19の基本領域

新専門医制度下の研修プログラムには、基本領域が19種類定められています。
まずは基本領域から専攻する領域を選び、研修施設の研修プログラムに参加する形です。

以下の19の基本領域を確認しましょう。

  1. 内科
  2. 小児科
  3. 皮膚科
  4. 精神科
  5. 外科
  6. 整形外科
  7. 産婦人科
  8. 眼科
  9. 耳鼻咽喉科
  10. 泌尿器科
  11. 脳神経外科
  12. 放射線科
  13. 麻酔科
  14. 病理
  15. 臨床検査
  16. 救急科
  17. 形成外科
  18. リハビリテーション科
  19. 総合診療科

参照:https://jmsb.or.jp/ippan/

基本領域の専門医取得後に関連領域であるサブスペシャリティ研修を行えば、サブスペシャリティ領域の専門医資格を取得することができます。

24のサブスペシャリティ領域

現在設定されているサブスペシャリティは24領域です。
基本領域の研修プログラム終了後にサブスペシャリティを研修する通常研修方式と、基本領域と同時にサブスペシャリティの研修を進めることができる連動研修方式の領域があります。
また、少なくとも1つのサブスペシャリティ領域を習得した後に研修を行える領域も決められています。

連動研修方式可能な15領域

  1. 消化器内科
  2. 循環器内科
  3. 呼吸器内科
  4. 血液内科
  5. 内分泌代謝・糖尿病内科
  6. 脳神経内科
  7. 腎臓内科
  8. 膠原病・リウマチ内科
  9. 消化器外科
  10. 呼吸器外科
  11. 心臓血管外科
  12. 小児外科
  13. 乳腺外科
  14. 放射線診断
  15. 放射線治療

連動研修方式を行わない領域

  1. アレルギー
  2. 感染症
  3. 老年科
  4. 腫瘍内科
  5. 内分泌外科

少なくとも1つのサブスペシャリティ領域を習得した後に研修を行える領域

  1. 肝臓内科
  2. 消化器内視鏡
  3. 内分泌代謝内科
  4. 糖尿病内科

サブスペシャリティ領域は、取得した基本領域の専門医によって選択できるサブスペシャリティ領域が異なるため注意が必要です。

例えば内科専門医は、サブスペシャルティ領域として消化器病、呼吸器、血液、内分泌代謝、糖尿病、腎臓、肝臓、アレルギー、感染症、老年病、神経内科、リウマチ、消化器内視鏡、がん薬物療法の専門医資格を取得できます。
外科専門医は、消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、乳腺、内分泌外科の専門医資格が取得できます。

 

専門医資格取得の流れを紹介

医師臨床研修終了後から専門医取得までの一般的な流れを紹介します。
専門医がどのように育成されるのか、専門医を目指す際に必要な準備について理解しましょう。

専攻医の登録を行う

登録を希望する学会のWebサイトまたは日本専門医機構のWebサイトから専攻医登録サイトに登録し、各領域の研修プログラムの詳細を見て、希望する病院の研修プログラムに応募します。
登録できるプログラムは1つなので、慎重に選ぶ必要があるでしょう。

その後、それぞれのプログラムの統括責任者の指示で試験や面接を受け、合格すれば専攻医になることができます。

一次登録で研修先が決まらなかった場合、二次登録に進む

各病院のプログラムには定員数が設けられています。
もし定員で希望のプログラムに進めなかった場合は二次登録を行います。

各病院の研修プログラムを受ける(最低3年)

各病院の研修プログラムにはさまざまな特徴がありますが、学会や機構が定める基準を全てのプログラムが満たしているので、一定の経験が積めることは保障されています。

しかし、プログラムによって専門施設をローテートすることができるかどうか、どの分野に強みがあるか、学術研究活動にどの程度力を入れているかなどは大きく異なります。
職場の雰囲気や人間関係、ワークライフバランスのあり方も組織によって違いがあるため、見学したり担当者や経験者に話を聞いたりすることが重要でしょう。

研修プログラムによる研修は、本来「プログラム制」といわれ、機関施設と連携施設を循環することで研修が完結する仕組みです。
しかし、出産や育児、留学などの合理的な事情があり各学会に認められた場合のみ「カリキュラム制」で研修を行うことができます。「カリキュラム制」とは、各学会が設けた「単位数」や「経験すべき症例」を満たせば専門医試験が受けられる仕組みです
基本領域の研修を同時に複数受けることはできませんが、1つの基本領域の研修の後、ほかの領域の研修を受けることもできます。

基本領域の専門医認定を受ける

研修中の症例数や提出論文数などの条件を満たし、筆記試験に合格すれば専門医認定を受けることができます。

サブスペシャリティ領域へ進む

基本領域を修了後、サブスペシャリティ領域の専門医資格取得に進むことができます。
先述した通り、基本領域ごとに進むことの出来るサブスペシャリティ領域が異なるため注意しましょう。また、15のサブスペシャリティ領域では、基本領域の研修と並行して研修を行うことが認められています。基本領域取得後、どのように歩んでいくかは医師それぞれ個性が見られます。

 

専攻医が知っておきたい「シーリング制度」とは

日本医療界が抱える問題の1つとして、診療科と地域の偏在があります。
つまり、首都圏などの都会に医師が集中したり、人気のある科に医師が偏り、科によっては深刻な医師不足を抱えているという現状です。

新専門医制度では、このような医師の地域偏在と診療科偏在の問題を改善するために、シーリング制度を実施しています。

  1. 医師が充足している地域(五大都市)の比較的医師の多い診療科の採用数に上限を儲けた
  2. 特に専攻医の集中した東京をさらに厳しく制限した
  3. 都道府県別、診療科別に必要医師数に達している診療科について上限を設ける

将来の各科の必要医師数と採用数を算定し、都道府県ごとのシーリングの人数を設定しています。
シーリング制度は2020年に開始されたばかりであるため、明確な成果の判断はできません。地域医療の問題を改善できる対策となっているのか、今後の展開に期待です。

参照:厚生労働省 (  https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000589738.pdf )

 

専攻医の採用数の推移

※1 赤字は採用数の伸びが全国平均(7.3 %)以上の増加率の診療科
※2 青いセルはシーリング対象外の診療科

引用元:厚生労働省 『令和3年度専攻医採用と 令和4年度の専攻医募集について』( https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000833608.pdf

シーリングの対象となった科でも対象となっていなくても、ここ数年の採用状況としては大きな変化が見られません。
地域によって内科、外科の医師が明らかに不足しているという意見や医師少数県の専攻医が必ずしも増えてきていないという分析もあるため、今後も検討、評価が必要だということがわかります。

 

まとめ

新専門医制度が導入されたことにより、「後期研修医」を「専攻医」と呼ぶようになるなど様々な名称が変化しました。新専門医制度では名称だけでなく、研修プログラムや基本領域取得からサブスペシャリティ領域に進む流れも特徴的です。この記事を参考に情報収集をしっかりと行い、自分の希望するキャリアを築けるように準備しましょう。

専門医資格取得にあたっては、専門医試験の対策も必要不可欠です。
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