開業医が勤務医と大きく異なる点の1つは、「経営者」としての能力も求められるようになることです。開業医はクリニック開業という夢を叶えたはいいものの、「経営者」としての役割に慣れずに苦戦し、クリニックが経営難であるというケースが多く見られます。
そこで今回は、現状からクリニックが経営難に陥る要因を把握し、経営難を回避する方法をご紹介します。
クリニックの現状
まずは最新(2022年5月現在)の情報を用いてクリニックの現状を紹介します。
令和2年度の診療報酬は過去最低
厚生労働省の令和2年度医療費の動向*1(医療費の動向を迅速に把握するために医療機関からの診療報酬の請求に基づいて、医療保険・公費負担医療分の医療費を集計したもの)は、令和2年度の概算医療費が42.2兆円であったと発表しました。この結果は前年に比べると-3.2%の金額にして-1.4兆円であり、1954年に公表を開始されて以来過去最低の診療報酬でした。
また、令和2年度医科診療所主たる診療科別入院外医療費の伸び率によると、心療内科と産科以外のすべての診療科において診療報酬がマイナスになっていることも明らかです。これにより心療内科と産科以外のクリニックでは、受診する患者数、医療費が減少したことがわかるため、多くのクリニックが経営に苦戦したことでしょう。
受診延日数の伸び率は?
令和3(2021)年12月に厚生労働省保険局調査課で行われた「医科診療所の主たる診療科別の医療費等の状況」*2では、受診延日数(診療報酬明細書に記録される診療実日数を積算した値)でも診療報酬と同様に、過去最低の減少率である-10.2%を記録しています。また、心療内科以外のすべての診療科で前年度より受診延日数が減少しており、マイナスを記録したクリニック数はこれまでの調査記録の中で過去最大です。
クリニックが経営難である要因は?
ここまでクリニックの現状を見てきて、様々な診療科のクリニックで経営難にある可能性が高いことがわかりました。では、なぜ近年クリニックが経営難にあるのでしょうか。
コロナ禍の影響
ここ数年におけるクリニックの経営難は、コロナ禍の影響を大きく受けている可能性が高いです。上記でクリニックの現状を把握した資料(診療報酬・受診延日数)は、コロナウイルスが流行する前の2019年からコロナ禍の現在(2022年)にかけて、診療報酬・受診延日数が共に大幅な減少を見せています。
コロナ禍でクリニックを利用する機会が減った理由は、医療機関でのコロナ感染を恐れて軽症者が受診を控えたことや、緊急事態宣言やまん延防止措置などの対策が敷かれたことで外出自粛をし、クリニックに受診をする頻度も減ったことが考えられます。
このようなコロナ禍での人々の行動や意識の変化が、クリニックを経営難に招いている要因の1つだといえるでしょう。
クリニックに従事する医師の高齢化
令和2年に発表された厚生労働省の調査によると、病院に従事する医師の年齢は30〜39歳の医師が最も多く、平均年齢は病院(医育機関附属の病院を除く)では47.2歳、医育機関附属の病院では39.3歳であることがわかりました。
一方でクリニックに従事する医師の年齢は60〜69歳の医師が最も多く、平均年齢は60.2歳で、高齢者(65歳以上)に近い医師が多く従事していることがわかります。
この調査結果で明らかになったクリニックに従事する医師の高齢化が、クリニックが経営難に陥る要因の1つではないでしょうか。なぜなら、院長が高齢である場合や高齢の医師が多いクリニックでは、若手の医師が多い場合に比べて「経営を立て直そう」「クリニックを良い方向に変えていこう」とする意志が起こりにくいと考えられるからです。
クリニックの経営を立て直すことができなければ、クリニックの閉院を招いてしまうため対策が必要となります。
クリニックの経営難を立て直すには?
現在(2022年)は多くのクリニックで経営の現状が厳しいものであると考えられますが、経営難を立て直す方法はないのでしょうか。ここからはクリニックの経営難を改善するための対策について紹介します。
コストを見直す
クリニックの経営を立て直すために、コストの見直しは欠かせません。
運営には人件費やランニングコスト、そして広告費などの多くのコストがかかります。それらのコストを見直すだけでも、経営を立て直す可能性は十分にあります。
例えば、人件費削減のために採用方法の見直しをして適切なスタッフ配置をしたり、ランニングコストを削減するために医療機器やパソコンなどの電子機器、通信費なども見直すことで大きなコスト削減に繋がる可能性もあります。
コスト削減の方法が分からないという場合には、医療コンサルタントに相談し経営におけるアドバイスをもらうこともおすすめです。しかし、当然ながらコンサル代が発生してしまうため、よく検討してから導入するようにしましょう。
新専門医制度で認められた「専門医」になる
新専門医制度によって認められた「専門医」になることもクリニックの経営難を立て直す方法の1つです。
2018年度よりスタートした新専門医制度は、日本専門医機構が主催しており、専門医の質を高めることでより良質な医療を提供することを目的としています。
新専門医制度下で専門医の認定を受けると、その旨をクリニックの広告に使うことができるため、信頼度の向上にも繋がり、クリニックの集客にもプラスに働くでしょう。
専門医の試験対策はドクターズスタディがおすすめ
新専門医制度は2018年にスタートしたばかりなので、新専門医制度の専門医試験に対応したテキストや講義動画はあまり多く見られません。そのため、試験対策に不安があるという方におすすめしたいのがドクスタです。
専門分野に特化した学習が可能
ドクスタでは、自分が学びたい専門分野において新専門医制度に対応した学習を効率よく進めることが可能です。普段は診療などの業務で多忙を極める医師でも、ドクスタの講義動画とテキストを活用すれば、隙間時間などを利用していつでも専門医試験対策が可能です。
講師はDr.孝志郎
講師であるDr.孝志郎は、医師国家試験対策講義のカリスマ講師であり、「医学を教えるスペシャリスト」と称されています。Dr.孝志郎のわかりやすく聞き取りやすい講座は、類稀なる予想的中力から圧倒的な人気を誇っています。サンプル動画が視聴できますのでぜひ講義動画の様子をチェックしてみてください。
まとめ
近年(2019〜2022)は、診療報酬や受診延日数の減少から、多くのクリニックで経営難に陥る可能性が高いことがわかります。クリニックの経営を立て直すには、コストの見直しや集客力アップのために新専門医制度下での専門医になることがおすすめです。
専門医になるための専門医試験を突破するためには、ぜひドクスタをご活用ください。