記事作成日:2023/06/14

記事更新日:2024/03/12

救急科専門医試験は難しい?合格率や対策方法を解説

救急医として医療に携わろうと考えている方の多くは、救急科専門医の取得を検討するでしょう。救急科専門医は、まだ日本に5814名*1しかいない貴重な資格です。(2022年1月27日時点)
総合内科専門医が41,377名*2(2023年1月30日時点)、外科専門医が24,341名*3(2023年2月1日時点)であることと比べても少ないといえます。

この記事では、救急科専門医の資格取得に向けて必須である救急科専門医試験の難易度や、合格率や具体的な対策方法について解説します。

*1 一般社団法人 日本救急医学会一般向けホームページ:名簿・施設一覧
*2 総合内科専門医名簿 | 専門医制度 | 日本内科学会
*3 学会案内|日本外科学会

 

 

救急科専門医試験の合格率は?新専門医制度による影響はある?

救急科専門医試験の合格率と、新専門医制度が導入されたことによる試験の難易度の変化について見ていきましょう。
新専門医制度下で救急科専門医を目指している方は、合格率と難易度の把握をすることが大切です。

 

救急科専門医試験の合格率は70~75%ほど

救急科専門医試験の合格率は年によってさまざまですが、日本救急医学会のデータによると最近の合格率は70〜75%とされています。また、専門医制度が始まった2004年当初は53%ほどの合格率でしたが、2021年現在の合格率は82%となっています。

 

新専門医制度による試験難易度の変化はない

救急科専門医試験の試験内容は新専門医制度が施行される前と同じです。試験内容は「診療実績表の内容に準じる」とされており、試験難易度に変化はありません。しっかりとした対策を行い、確実に合格を手に入れる準備をしましょう。

参照:日本救急医学会 診療実績表(2022年以降)

 

新専門医制度下における救急科専門医資格を取得する流れ

2018年から日本専門医機構による新専門医制度が施行されました。ここからは新専門医制度下における救急科専門医資格取得の流れを解説します。
2016年以降に医師免許を取得した場合は、新専門医制度下での研修が必要です。
何らかの合理的な理由でプログラム制での研修ができない場合には、専門医認定印会に所定の理由書を提出し、認められた場合でのみ旧制度のカリキュラム制で研修を行うこともできます。

参照:日本救急医学会 専門医を取得する

 

1.プログラム研修を修了する

専攻医として、日本専門医機構が定める基幹施設と連携施設等の症院群の中をローテートしながら3年間の研修を行います。研修年数ごとに、習得すべき臨床能力が定められています。(以下)


〇専門研修 1 年目で修得すべき臨床能力と具体的な研修方策

・基本的診療能力(コアコンピテンシー)
・救急科 ER 基本的知識・技能
・救急科 ICU 基本的知識・技能
・救急科病院前救護・災害医療基本的知識・技能
・必要に応じて他科ローテーションによる研修

 

〇専門研修 2 年目で修得すべき臨床能力と具体的な研修方策

・基本的診療能力(コアコンピテンシー)
・救急科 ER 応用的知識・技能
・救急科 ICU 応用的知識・技能
・救急科病院前救護・災害医療応用的知識・技能
・必要に応じて他科ローテーションによる研修

 

〇専門研修 3 年目で修得すべき臨床能力と具体的な研修方策

・基本的診療能力(コアコンピテンシー)
・救急科 ER 領域実践的知識・技能
・救急科 ICU 領域実践的知識・技能
・救急科病院前救護・災害医療実践的知識・技能
・必要に応じて他科ローテーションによる研修

参照:日本救急医学会 専門研修プログラム整備基準 

またこれら以外にも救急科領域での学会発表や論文発表、講習の受講などが必要になります。

 

2.筆記試験(救急科専門医試験)

3年の研修を完了し、筆記試験(救急科専門医試験)を受け、合格すれば救急科専門医に認定されます。毎年9~10月頃に試験があります。試験内容は新専門医制度の施行前の旧専門医制度と同じで、網羅的な対策が必要になります。
最終合否通知は10月頃で、12月に日本専門医機構から認定証が発行される流れです。

参照:日本救急医学会 年間スケジュール

 

救急科専門医プログラム研修の到達目標

救急科専門医プログラムでは、専門知識、技能、学問的姿勢、医師としての態度、といった4つの項目にそれぞれ到達目標が設定されています。到達目標を意識しながらプログラム研修を行えなえば、専門医を目指す上で実りのある研修になるでしょう。
ここでは、日本救急医学会の資料を元に解説します。

 

1.専門知識

専攻医は、プログラムの行動目標に沿って救急医として必要な専門知識を修得します。要求される知識の水準は、研修修了時点で1人でも診療できることを想定して設定されています。
プログラムの内容は、研修中に習得しなくてはならない必修水準の知識と、習得しておくことが望ましい努力水準の知識に分けられています。

 

2.専門技能

専攻医は、救急医として必要な技術を修得します。必要な技術とは以下の通りです。

・診療の手順
・診断に必要な手技
・救命に必要な処置
・集中治療に必要な手技
・外科手術に必要な手技 など

このように、幅広く技術を修得する必要があります。研修期間中に、単独で実施できるものと、指導医の観察の下で実施できるものに分けられています。

 

3.学問的姿勢

専攻医は、救急医として必要な学問的な姿勢を修得します。
学問的な姿勢とは、基礎研究や臨床研究に関わること、学会や研究会に積極的に参加すること、論文を執筆し発表することなどです。つまり、科学的な思考方法を修得し、一生涯にわたって継続的に学び続けるスキルや姿勢を身につけることが必要となります。

外傷症例や心停止症例の登録などの研究に貢献することも、学問的姿勢と呼ばれます。

 

4.医師としての倫理性と社会性

専攻医は、救急医として必要な倫理性や社会性を自身の中に養うことを要求されます。患者やメディカルスタッフとのコミュニケーション能力を磨き、医師としての責務を果たし周囲から信頼されること、チーム医療の一員として行動すること、後輩医師やメディカルスタッフに教育・指導を行えるスキルを身につけることも大切です。

 

救急科専門医試験の対策方法を紹介

ここからは救急科専門医を目指すために確実にクリアしたい救急科専門医試験の対策方法についてご紹介していきます。
年々合格率は上がってきていますが、油断は禁物です。効率的な学習を通して専門医資格の取得を目指しましょう。

 

日本救急医学会が提供する過去問で対策

新専門医制度下でも難易度は旧制度と変わらないため、過去問を使った学習が試験対策に役立ちます。
日本救急医学会では、2009~2019年の過去問が閲覧可能です。2019年度以前の過去問はWiley Online Library(日本救急医学会雑誌)に記載されています。

2020年度以降の過去問は「日本救急医学会会員専用ページ(e医学会)」にのみに掲載されているため、直近の過去問を用いた学習がしたい方は、会員ページにログイン後、所属学会メニューから 日本救急医学会を選択して専門医筆記試験問題をチェックしましょう。
過去問を解くことで出題傾向を把握することができますので、試験に慣れておくという意味でも欠かせません。
このほか、解説付きの対策問題集などもあるので利用すると良いでしょう。

参照:日本救急医学会会員専用ページ(e医学会)

 

ドクスタの「リサーチサマライズ」で対策

救急専門医試験は過去問が公表されていますが、これらの過去問は膨大な量であり、現場で活躍しながら演習するのは難しいのではないでしょうか。
ドクスタの「救急科専門医試験リサーチサマライズ」はその問題点に着目し、より実践的で効果的な演習方法を提供するために作成されました。救急専門医試験は特に、以下③のコスパが重要です。

①王道のテーマをピックアップ
②そのテーマについての過去の出題傾向と今後の学習の方向性を示す
③問題数を絞り込みコスパ重視の学習を進める

コスパとは「実際に上昇した得点」と「授業時間+演習時間」の関係から考えられ、これが高ければ高いほど良いというシンプルなものです。
この講座は、回数別との相性も考慮し、医師国家試験のトレンドも組み込んでいます。過去の専門医試験や国家試験の回数別の分析から、時代ごとに傾向があることが分かっており、最近の医師国家試験の動向を理解することは、専門医試験の受験に有利になるでしょう。

 

 

まとめ

この記事では救急科専門医試験の合格率や対策方法について解説しました。
救急科の専門医試験の合格率は70〜75%で推移しており、新専門医導入前後で比較しても試験難易度に変化はありません。

新専門医制度下で救急科専門医を取得するためには、研修プログラムを修了し、筆記試験を受けて合格する必要があります。研修プログラムは知識、技術、学問的態度、医師としての態度の4つの分野に到達目標が設定されています。
研修プログラムを完了しても、救急科専門医試験を突破できなければ専門医資格を取得することはできません。
筆記試験を確実にクリアするための準備としては、救急医学会が公開している過去問で勉強する方法と、ドクスタを用いての試験対策がおすすめです。

ドクスタは、専門医資格取得を目指す忙しい研修医でも、自分の学びたい専門分野の新専門医制度に対応した学習を効率的に行えます。ドクスタの丁寧でわかりやすい解説のもと、万全な試験対策を行いましょう。

 

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