2024/06/05
【合格者インタビュー】本格的な勉強期間はわずか3カ月!要点を絞るリサーチサマライズで集中突破<総合内科専門医試験>
2023年度総合内科専門医試験の合格者である関口先生に、受験のきっかけや試験勉強の方法などについてお話しをお聞きしました。
2023年度総合内科専門医試験の合格者である関口先生に、受験のきっかけや試験勉強の方法などについてお話しをお聞きしました。
記事作成日:2022/10/19
記事更新日:2024/09/02
シーメックのDr. 孝志郎です。
先日、第50回総合内科専門医試験について合格発表がありました。大変な年回りの専門医試験本当にお疲れさまでした。
試験終了から1か月の間、受験生皆様にリサーチをかけて分析作業を完了しましたので、ここに報告させていただきます。
また、ツイッターなどのSNSでもDr. 孝志郎に分析と今後の学習の方向性を示して欲しいというたくさんのご意見を頂けたことに感謝を捧げます。
※編集部注:本記事は2022年に実施された第50回総合内科専門医試験への総評記事となります。
2024年度試験に向けたDr. 孝志郎からのメッセージをYoutubeにて公開していますので、そちらもあわせてご覧いただければ幸いです。
まず総合内科専門医試験はそもそもが難関であり平易な年は存在しない。基本的に「難」あるいは「至難」である。
結論から言うと第50回総合内科専門医試験は至難と分析する。これは受験生の体感としても、私の分析作業の結果としても合致する。
私は第47回つまり前回の合格者だがその年と比較しても一段レベルが高かった。
総合内科専門医試験なので主訴や病歴、身体所見や検査データから鑑別を絞り込み、次に実施する検査を選ばせる。そしてその検査における具体的な数値をおさえておく。
この流れそのものについては例年通りだろうがとにかく厳しい内容、そしてモヤモヤするテーマが目立った。以下にその具体例を提示したい。
ダイナミックCTを添付した肝腫瘤の設問は画像が典型例とは言い難く、良悪性の鑑別がつきにくい。その上で対処法や治療法などを中心に構成された選択肢のセットは非専門医泣かせであろう。
めまいの設問は連問だった。めまいそのものは頻出だが選択肢が問診、眼振、そして診断の全てが耳鼻科専門医試験を彷彿とさせる内容で満点解答は至難。
悪性胸膜中皮腫は問題文が長くその割に必要な情報量が少なかった。しかも選択肢のセットは化学療法の2nd Choiceを問うものであり呼吸器医や腫瘍内科医以外にはやはり至難。
多発性骨髄腫と心アミロイドーシス合併の設問でも治療薬が問われていたがガイドラインに推奨されている薬を丁寧に考えさせるものではなく消去法でなんとなくメルファランを選ばせる内容であり試験終了した今においても疑問が残る。
30歳台女性の脱毛は連問で出産後にうつ状態を伴っていた。正直言って内科医としては鑑別の第一にSheehan症候群を挙げることだろう。
しかしそれが報われるのは連問の最後。診断と治療に関しては皮膚科専門医にコンサルトを依頼すべき内容となっており至難。
カブトムシとオガクズが関与した呼吸器症状の設問も非専門医は面食らってしまうことであろう。そもそも昆虫ファンの呼吸器症状は多彩で過敏性肺炎もあれば気管支喘息もある。
クリアカットに鑑別し、自信を持って選択肢を選ぶためにはもう少し情報が欲しいところ。
肺吸虫の設問は感染症医でないと苦戦は必至。
私は宮崎大学の卒業生なので「イノシシときたらE型肝炎と肺吸虫」とピンと来るが、そもそも一部の医者にしか推定できない感染源を問うのは総合内科専門医試験として適切な出題であろうか。
感染症領域であれば何故COVID19を出さなかったのか。
この様な波乱続きの年回りにラストCブロックで受験生を待ち受けていたのは英語論文を提示してintention-to-treatやフォレストプロットを読ませるという設問だった。
冷静に分析すると確かにどの科でトレーニングを受けていたとしてもフェアなテーマではあるが過去に前例が無く「とことんまで受験生のメンタルを揺さぶる問題セット」であったと分析する。
第47回に比べてX2が増えていたことも難易度上昇に拍車をかけていた。
昔の総合内科専門医試験ではX2が多くメンタルを揺さぶる内容が多かったものだが私が受験した第47回はバランスの良い問題数だった。それが第50回で復活した。
常日頃から医師国家試験を分析している自分はX2の恐さを知り尽くしている。一つは選べたとしてももう一つを的確に選ぶところに完成度の高さとメンタルの強さが要求されるからだ。
例年と同じテーマが出題されたとしてもそれがX2に改変されたというだけでハードルは高くなり正答率は下がる。それが自分の非専門領域からの出題となればなおさらであろう。
第50回は特に割れ問が多い年回りだった。そこで実際の過去のデータを分析することによって第50回の難度について記載したい。
2021年度の第一回(新)内科専門医試験について日本内科学会雑誌2022年 第6号議事録に掲載されている。そこには「正答率20%未満かつ識別係数が不良の設問が11題あり、学会で検討の結果、そのうちの6台を削除した」とある。
全問題数を分母として計算すると2.4%が削除されたことになるが、この削除率を医師国家試験に当てはめてもらいたい。
医師国家試験は現在400問。ここに当てはめると400問×0.024≒10問。
今の医師国家試験でこれだけの問題数が削除される様な事態が発生したらそれは事件である。
新内科専門医試験についてもシーメックで十分なリサーチを取ったが、それでも受験生のメンタルはそこまで揺さぶられてはいなかった。
経験もあり歴戦の臨床医である第50回総合内科専門医試験受験生達が「相当メンタルを揺さぶられた」という事実と前述のX2増加を合わせて分析すると例年以上に正答率低値の設問が多いことを予測させる。
自分はこの様な問題のセットがいかに試験そのものの難易度を上げてしまうかという事実を誰よりも知っている。この波乱の中で最後まで問題を解き切った第50回の受験生達の健闘を改めて称えたいと思う。
至難の第50回ではあったが地道に得点できる問題も確実に存在した。そしてその多くが近年の医師国家試験でトピックスとして扱われているものだったという傾向があったことを報告したい。
GAVEとアルゴンプラズマ療法に関しては平成30年度版医師国家試験ガイドラインに掲載されたが専門医試験で出題されていた。
下痢型過敏性腸症候群に対する治療として5-HT受容体拮抗薬をセレクトさせる設問は116D51で初出題。
NERDは115A50で初出題。挙げるとキリが無いが亜急性甲状腺炎の連問やMENⅠ、アスピリン喘息とCOX-1、IgG4関連疾患、甲状腺クリーゼ、白赤芽球症をきたさない疾患などは近年の医師国家試験でも頻出である。
特にMDSの治療方針決定に必要な検査は第50回総合内科専門医試験および国試115D32で出題されているが国試レベルでも近年既に低リスクと高リスクを鑑別させて適切な治療法を選ばせるというテーマが出ていることを知っていてもらいたい。
これらを踏まえると専門医試験の学習の方向性として強調したいのが「医師国家試験の近年の動向を知り、それを総合内科専門医試験のレベルにブラッシュアップしていくこと」であること。
シーメックからDr.孝志郎のリサーチサマライズが、医学書院から内科系専門医試験解法へのアプローチ(第一集~第三集)がDr. 孝志郎の名前で出ているがこの多くをその大前提で作り上げたことを強調しておきたい。
事実として第50回でしっかり的中が出ており喜びの声も多数いただくことができた。しかしそれ以上に専門医試験において重要なエッセンスはこれらを通して学習の方向性を示せたという事実にあると思う。
総合内科専門医は範囲が膨大で的が絞りにくい。限られた時間で攻略するためにはメルクマールが必要なのである。どこから勉強したら良いのかが分からないのが受験生の本音であろう。
だからこそまずは私が示したポイントを中心に世界を広げていき試験範囲を網羅してもらいたい。
的中が出て喜ぶのは医師国家試験の世界だけでよい。総合内科専門医試験合格に本当に必要なエッセンスは「膨大な範囲からいかにしてポイントを見つけ出し、それを元に学習の方向性を定め、どうやって自分の専門外の範囲で得点させるか」にあるのだ。
またリサーチサマライズにしても医学書院の著書にしても内科学会の総会や学会誌の情報で重要と思われるものは軒並み入れた。
専門医試験合格に必要不可欠なものは情報だ。学会から発売されている僅かな過去問とセルトレだけでは視野狭窄に陥る。事実、第50回はそれだけでは太刀打ちできなかったであろう。
医師国家試験と内科系専門医試験の傾向は必ず連動する。そして内科学会からの情報は逃さない。それを形にしたのが自分のリサーチサマライズと医学書院の著書である。
至難の試験であればあるほど情報と分析を主軸とした「的を絞る講座や著書」が必要なのであり、それがあるからこそ得点できる設問で地道に得点できるのである。
なお医学書院の3部作だが、改めてもう一度読み直してもらいたい(臨床問題だけでなく一般問題も)。X2とX3が多く入れてあることに気づくことだろう。自分はこの傾向が復活することを予見していた。
「最近はX1ばかりだからきっと大丈夫・・」という安直な予想は危険である。それをよく理解していため10年前から今日にかけてこのスタイルで執筆してきた。これが第50回のX2増加に対応できていたことを読者の方々から評価して頂けたことは事実である。
2023年に実施された第51回総合内科専門医試験について合格率が発表されました。今回の合格率は87.36%でした。
(受験者数は1,527名で、合格者数は1,334名)
※日本内科学会誌 2024-1より
最後に。第50回の出題内容について十分なリサーチができた。今後も総合内科専門医試験に向けて出題の具体的な傾向や、どの方向性で学習すべきかなど、受験予定の先生方へ有益な情報やサービスを発信していく予定である。
その中で、近年の医師国家試験の傾向についてもふれていくつもりだ。互いに連動する試験の情報は必ず役立つと確信している。
また、リサーチに協力してくれた先生方には感謝の言葉を述べたい。この貴重な情報を次の合格に向けて活かしていきたいと思う。至難の専門医試験だからこそ合格した時のリターンは大きい。
みんなで団結して合格を掴み取っていきたいと思う。そしてこの総評を読んでくれた医師達から一人でも多くの合格者が出ることを祈っている。
宮崎大学医学部卒。総合内科専門医。Dr. 孝志郎のクリニック院長。
2019年「総合内科専門医試験」を全領域ハイスコアで合格。
2007年よりメックの講師となる。医学生・医師の試験対策講座受講者は10万人を超える。類稀なる予想的中力と、わかりやすく聞き取りやすい講座、明るく楽しい人柄で、圧倒的な人気を誇るカリスマ講師。
<(第51回)2023年 総合内科専門医試験に向けた対策・オススメ教材>
ドクターズスタディでは、Dr. 孝志郎による分析をもとに開発された「総合内科専門医試験リサーチサマライズ」を公開しております。
本講座では多くの受験者が抱える悩みや不安をヒアリングした内容も反映しておりますので、効率の良い試験対策をすることができます。
また本講座は個別購入も可能です。「頻出重要疾患を集中的に学習したい」「苦手・不安科目を中心に対策をしたい」といった希望をお持ちの方にもおすすめの内容となっております。
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