記事作成日:2022/08/21

記事更新日:2024/03/04

医師の開業年齢の平均は?勤務医との違いやリスクについても解説    

医師の経験を積み開業を志す際には、年齢に関して不安を感じる方もいるでしょう。先代のクリニックを継承する場合も含めて、勤務医との環境の違いやリスクなども気になる部分です。
そこで今回は医師の開業年齢の平均、勤務医との違いやリスクについて徹底解説していきます。

 

医師が開業する際の平均年齢は41.3歳      

はじめに、医師が開業する際の年齢やタイミングなどをデータとしてみてみましょう。日本医師会が発表した2009年のデータによると、新規で開業する医師の平均年齢は41.3歳です。

開業の平均年齢は年々高くなる傾向にあり、30年前は30代での開業が主流でしたが、近年では40代以降で独立するケースも増えています。病院勤務医として一定期間のキャリアや経験を積む時間をこれまでより長く経たのちに開業しているケースが多いです。

なお、全事業を対象とした日本政策金融公庫の2021年におけるデータによると開業の平均年齢は43.7歳となっており、医師の開業タイミングは比較的やや早いものの、大きな差はありません。資金面の調達問題や、少子高齢化、医療や介護に関わる施設の増加、先行きの見えない景気動向など様々な世相を考えると、30年前と比べて慎重にならざる得ないことも理解できる数字といえます。

参考:

https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20090930_21.pdf

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_211129_1.pdf

 

開業する医師の適正年齢は?早い方がいい?      

開業医は「かかりつけ医」として開業した地域において地元密着型の医療を求められることも多いです。そのような面からも何より大切なことは「信頼」であり、医師としての技能や経験が重要となってきます。
一般的には専門医を取得後開業するケースが多く、そこからさらに専門的な経験を積むことを考えると開業のタイミングは40代以降となってしまうのが現実です。

しかし、独立のスタートがあまりに高齢となりすぎると、心身ともに厳しくなります。医師としての日々の診察だけでなく、従業員の管理や経営者としての側面も担うことになるためです。これらを総合的に考えると、適正年齢は40〜50代前半までといえます。

 

年齢が若いうちに開業するメリットを勤務医の待遇と比較    

体力がある若いうちに自分のクリニックを持ちたいと考える医師は少なくありません。年齢が若いうちに開業するメリットはいくつかあります。ここでは開業医と病院勤務医の年収や労働環境などを比較し、年齢が若いうちに開業するメリットを解説します。

 

勤務医よりも500万円以上平均年収が高い

第23回医療経済実態調査によると一般病院の医師の年収は国立であれば平均約1,113万円、開業などを行った個人なら平均約1,676万円と500万円以上差があります。

場合によっては1,000万円程度の差が開くことも珍しくありません。なお、勤務医の平均年収を以下の表で年齢別に見てみると、年収1,000万円を超えるまでに多くの時間を要することがわかります。

年齢

年収

20代

599万円

30代

968万円

40代

1,327万円

50代

1,528万円

60代以上

1,487万円

それに対して、開業を行う医師は経営の実力次第で若いうちから高収入が見込めます。そのため早い段階で開業を目標とする方もいます。

参考:https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/jittaityousa/dl/23_houkoku_iryoukikan.pdf

 

開業医のほうが時間に融通がつく    

では、開業医を目指した医師はどのような目的で、開業をしたのでしょうか。日本医師会のアンケート調査では、開業時の主な動機として以下のような結果が明らかになっています。

新規開業における動機の最上位は「自らの理想の医療を追求するため」で42.4%、一方「勤務医または研究者時代の精神的ストレスに疲弊したため」が21.0%、「勤務医または研究者時代に過重労働に疲弊したため」が18.6%を占めるなど、勤務医の労働環境の厳しさが垣間見えます。さらに調査では、休日が月4日以下の病院勤務医が全体の約4割と医師の負担が大きい点も明白です。

また、大学医局に所属していると異動もあり腰を据えた診療は難しくなります。病院の状況によっては、夜間なども含め専門外の患者の診療も必要となり、命を預かる医師としてストレスを感じることもあるでしょう。
このような面から、物理的な融通が効く方法を模索し、開業に至ることもあるようです。年齢が若いうちに開業することで、自分の専門を活かした医療を行えるほか、仕事とプライベートの時間的両立がしやすくなります

参考:https://www.google.com/url?q=https://www.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20090930_21.pdf&sa=D&source=docs&ust=1659684933930449&usg=AOvVaw08Gfwh3D5MV2NvtWyPpf74

 

 医師の開業における年齢によるリスク       

業種に問わず、独立や開業には金銭面、条件面など様々なリスクがつきものです。ここでは若い時期の開業と高齢での開業、それぞれの「年齢」におけるリスクを考えていきましょう。また年齢問わず取得した方が良い資格なども紐解いていきます。

 

若い医師の開業リスク   

大学、研修医を経て、最短26歳で医師として開業することは可能です。しかしながら、患者に関わる機会や積み重ねた事例などは少なく、まだまだ医療に対する技術や経験が十分に蓄積されていない状態です。このような状態では、患者からの信頼を得ることが難しく、開業しても失敗するリスクの方が大きいでしょう。

加えて、開業となると自己資金が必要な場面が度々あり、十分に備えがないと経営が困難になることも珍しくありません。いくら医師といえどもこれまでの実績が乏しければ、銀行からの信用も薄く資金調達に苦戦します。どちらにせよ費用を抑える工夫は必須です。

このような場合には、例えば事業継承を活用する方法がおすすめです。新規開業よりも資金を抑えることが可能で、現在では親子や親族間以外での病院承継も普及してきました。

厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師統計では、病院の開設および医療法人の代表者の平均年齢が2000年度は61.5歳だったのに対し、2018年には64.3歳となり、医療経営者の高齢化が進んでいます。それに伴い、近年では第三者への承継が増加傾向にあります。特にM&A事業者が仲介しているケースがしばしば見られ、病院の開設主体が個人から法人へシフトしていく傾向となっています。

 

高齢な医師の開業リスク 

開業し地域医療の最前線に立つ医師は人柄を含め、親切であることや、対応が丁寧であることも大切です。しかし、「病を治す、治療する」という医療の技術を疎かにするわけにはいきません。
高齢になると経験や知識は充実しますが、肉体面、視力や手先の器用さの低下、体力の衰えなどが現れてくることも考慮する必要があります。

勤務医であれば60歳の定年後に再雇用で正社員より穏やかな働き方をしながら、65歳で実質的な定年となるのに対して、開業医は定年が決まっていないため、自身で線引きをしなくてはなりません。肉体、精神面、視力や手先の器用さが衰えなければ生涯現役も可能ですが、一方で定年がないからこそ、自身の限界に判断がつきづらく、診察のミスなど注意が必要となります。
このような面が高齢な医師の開業リスクであり、早い段階から準備を始めるのが望ましいといえます。

 

年齢に関わらず医師が開業を目指すなら専門医を取得しよう

開業医と病院勤務医の待遇の違いや、年代別の開業のリスクなどを解説してきましたが、年齢問わず今後開業するならば専門医を取得することをおすすめします。

 

開業を目指す医師が専門医を取得するメリット   

先にも述べたように、開業には地域密着型の医療と地域住民からの信頼や支持が不可欠です。信頼を得て「地域のかかりつけ医」として存在することで、息の長い医療に携わることができるでしょう。
また、これから地域での医療を展開するにあたって、医師同士の人脈を広げるためにも専門医を目指して研修に参加することをおすすめします。地域住民や同業者との関わり合いも開業成功の重要な鍵です。

専門医の資格を取得することで、医師としてのスキルアップはもちろんのこと、確かな技術を持っていることを患者に提示できるなど、患者からの支持につながります。また、医師のコミュニティで立場を確立することや、互いに専門性を活かした医療を根付かせることにも期待できます。
このような観点からみても専門医の取得は重要です。

 

専門医を取得するならドクターズスタディ

では、実際に専門医の学習をするにはどのような方法で学べば良いのでしょうか。
開業を目指す医師は準備で多忙なことも多く、さらには並行して病院勤務医として就業している方も多いでしょう。医師として多忙を極める中で専門性を高めるには、限られた時間の中で学習の量、質共に、効率よく学習する必要があります。

そこでおすすめな教材が「ドクターズスタディ」です。通常のテキスト学習とは異なり、スマホやPCなどで講義動画と合わせて勉強できるため、移動中やスキマ時間などを使って、いつでもどこでも学習ができます。講義形式のため、自身で文章を読み解くよりも身につきやすいでしょう。ドクターズスタディの教材であれば、効率的に知識を身につけることが可能です。

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